持ち家の名義を共有名義に設定して、持ち家を所有している夫婦の方は少なくないでしょう。
夫婦円満に結婚生活を過ごせる場合は特に問題はありませんが、さまざまな事情で離婚を選択する場合もあります。
「離婚の際に名義を変更する必要がある」
「名義変更の全体の流れを知りたい」
離婚をお考えの場合は、このようにお考えになる方が多いでしょう。
実際、共有名義の不動産をそのままにしておくことは、デメリットやリスクがあります。
そこで今回は、離婚時に共有名義の不動産をどうするべきかご紹介します。
福井・北陸周辺で不動産の名義変更をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

□離婚時に共有名義の不動産をどうするべき?

共有名義の不動産は離婚時には、名義変更したほうが良いです。
これは、離婚後も共有名義のままにしておくと、いくつもデメリットがあるためです。
本稿では、3つのデメリットをご紹介します。

1つ目は、離婚後も互いの関係が続いてしまうことです。
物件を共有で所有していると、離婚後もお互いの関係が続きます。

共有名義の場合、一人の共有者ができることが限られてしまいます。
たとえば、長期の賃貸借や抵当権設定、物件の売却などは、他の共有者の同意が得られないと実行できません。
離婚後も、上記を行いたいと思うたびにいちいち相手に連絡をとって協議するのは、ストレスになるでしょう。
意見が合わずもめてしまうケースも少なくありません。

2つ目は、放置される可能性が高くなることです。
先述しましたが、共有物件を活用する際には、双方の合意が必要になります。
たとえば、売却したいと思っても相手が反対する可能性があるでしょう。
このように、元夫婦が協力して物件を活用するのは困難なケースもあります。

結果として不動産が放置されてしまい「もったいない状態」になります。

3つ目は、お金がかかることです。
不動産は、所有しているだけでも固定資産税や管理費がかかります。
賃貸借などで活用しない場合は、お金を払うだけとなり損になります。

また、これらの費用は分担して払うのが原則ですが、相手が清算に応じてくれない場合、負担が1人に集中してしまい、トラブルにつながります。

□離婚時の名義変更の手続きについて

上記でご紹介した通り、物件が離婚後も共有名義のままですと、いくつものデメリットがあります。
そのため、夫婦どちらかの名義に変更した方が望ましいです。
では、ここからは名義変更の手続きについて解説していきます。

名義変更の手続き方法は、住宅ローンが残っているかどうかで方法が大きく異なります。

*住宅ローンを完済している場合

住宅ローンを完済している場合は、財産分与協議に基づいて単独名義での不動産登記をすれば完了です。
不動産登記をするためには、不動産があるエリアの法務局に行くか、もしくは司法書士に手続き代行の依頼をします。

離婚時の財産分与は折半が基本であるため、どちらかの名義に変更したら、不動産の価値の半額相当分を「代償金」として相手方に支払います。
共有の持ち分が50:50でない場合でも、離婚による財産分与の際には半分ずつ財産を分割するのが原則です。

*住宅ローンが残っている場合

住宅ローンが残っている場合、そのままの状態では名義変更ができません。
名義変更前に、片方の住宅ローンを完済しておく必要があります。

方法としては、夫婦のどちらかの名義に統一するか決めたら、金融機関に名義変更の意思を伝え、了承を得ます。
そして、ローンの借り換えの手続きを行います。

このとき、ローンの残高よりも不動産価値の方が高い場合には、その差額の余りを半分で分割するケースが一般的です。

その後は、住宅ローンを完済している場合の手続き方法と同様の流れで進みます。

□共有名義の名義変更にかかる費用について

費用については多くの方が気になるとこでしょう。
共有名義の名義変更にかかる費用について、税金とそれ以外に分けてご紹介していきます。

*名義変更にかかる税金

共有名義の不動産を一方の名義に変更する際は、以下の4つの税金が関係してきます。

1:贈与税
贈与税とは、贈与により財産を取得した個人に課せられる税金です。
離婚時の財産分与には、基本的に贈与税はかかりませんが、以下のケースで贈与税がかかる可能性があります。

・分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合
・贈与税や相続税を不当に免れるために離婚が行われたと認められる場合

2:譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産の譲渡に対して課税される税金のことです。
「財産分与時の不動産の時価」が「不動産取得時の時価」よりも値上がりしている場合に、その差額に対して、財産分与をした側に譲渡所得税がかかります。
以下のケースでは、譲渡所得税の納税が免除される可能性があります。

・譲渡所得が発生していない場合
・3000万円の特別控除が適用される場合

3:不動産取得税
名義変更される財産が多すぎるなどの理由で、名義変更により不動産を譲渡したとみなされる場合は、不動産取得税がかかります。
一般的には、かからない場合がほとんどですが、以下のケースでは支払う必要があります。

・分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合
・贈与税や相続税を不当に免れるために離婚が行われたと認められる場合

4:登録免許税
登録免許税は登記名義を変更する際にかかる税金のことです。
財産分与で名義を変更する場合には必ず納めることになります。

*名義変更にかかるその他費用

税金以外では、以下の費用がかかります。

5:司法書士費用
名義変更の手続きを司法書士に依頼する場合にかかる費用です。
費用相場は、5万円〜8万円程度です。
司法書士にお任せする範囲が多くなればなるほど費用が高くなります。

6:諸経費
名義変更の際に必要になる、戸籍謄本・住民票などの証明書や、収入印紙の費用などを入手するのにかかる費用です。

□離婚時に共有名義不動産を処分する方法をご紹介!

最後に、共有名義の不動産の主な処分方法を2つご紹介します。

*第三者に売却して現金化する

離婚をきっかけに夫婦双方が新しい拠点に引っ越しする場合は、共有名義不動産が不要になるでしょう。
共有名義不動産を手放したいと希望する夫婦には、不動産売却がおすすめです。

共有名義不動産を売却する場合は、3つの注意点があります。

1つ目は、売却後に住宅ローンが残るか否かで処分方法が異なることです。
共有名義不動産を売却する場合は、不動産売却価格が現在の住宅ローン残債を上回っているかどうかで処分方法が異なります。
したがって、売却をお考えの場合は、まず不動産がいくらで売却できるのかチェックしましょう。

不動産売却価格が住宅ローン残債を上回っている場合のことをアンダーローンといいます。
一般的には、共有名義不動産の売却価格で住宅ローン残債を完済し、残った現金を財産分与で分けます。

ただし、この現金は買主が見つかることを前提としています。
仲介業者の場合、希望に近い金額で売却できる可能性が高いですが、買主が見つかるのに時間がかかる可能性があります。
仲介業者と買取業者のどちらに依頼すべきかは、不動産の状況によって異なります。
当社は、仲介と買取両方に対応できますので、ご希望に沿って売却を進められます。

一方で、不動産売却価格が住宅ローン残債を下回っている場合のことをオーバーローンといいます。
オーバーローンの場合、金融機関からの許可が必要になります。
金融機関からの許可が得られた場合は、任意売却が可能です。
注意点として、離婚時にオーバーローンの共有名義不動産を任意売却しても、売却後共同で残債の返済を続ける必要があるため、将来的にトラブルが発生する可能性があります。

2つ目は、夫婦二人で手続きを進める必要があることです。
不動産が共有名義のままの場合は、夫婦二人で売却手続きを行う必要があります。

3つ目は、不動産売却後にお金の分け方や負担方法でトラブルになる可能性があることです。
売却益の分け方や費用の負担割合について話し合っておくことで、トラブルなくスムーズに売却を進められます。
売却益は、夫婦それぞれが1/2ずつ財産分与によって取得するのが原則ですが、不動産の持分割合によっては話し合って分け方を決める必要があります。
また、不動産を売却する際には、譲渡所得税や仲介手数料がかかるため、これらの負担方法についても明確にしておきましょう。

*夫婦どちらかが住み続ける

お子さんがいる場合や周辺環境の利便性が良い場合は、慣れた住環境でそのまま生活したいとお考えになる方も少なくないでしょう。
離婚後も夫婦どちらか一方が住み続ける場合は、名義を共有名義から単独名義に変更する必要があります。
名義変更は、不動産があるエリアの法務局で手続きできます。

また、住宅ローンの返済が残っている場合は、返済方法について話し合っておきましょう。
以下の3つが主な返済方法になります。

・一方が物件から出ていき、他方が物件に居住し続けるが、住宅ローンは二人で返済を継続する
・一方が物件に居住し続け、他方が単独で住宅ローンを返済する
・一方が物件に居住し続け、単独で住宅ローンを返済する

住宅ローンの返済が残っている場合は、単独名義への変更が金融機関から認められない場合があるため、単独名義でもローンの完済が可能であることを示せるようにしましょう。

□まとめ

本記事では、離婚をお考えの方へ、共有名義の不動産は名義変更するべきであるとご紹介しました。
また、名義変更の手続きや費用、共有名義不動産を処分する方法もご紹介しました。
本稿で名義変更の重要性についてご理解いただければ幸いです。
福井・北陸周辺で不動産の名義変更や売却をお考えの方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
お客様に満足いただけるような不動産売却を実現します。

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