「家の名義を共有名義にすべきか単独名義にすべきか分からない」
このような疑問をお持ちの方は多いでしょう。
家の購入は人生でほとんどないライフイベントなので当然ですが、この点について知っておくことは、その後の人生を考えると非常に重要です。

そこで今回の記事では、家の名義は単独名義にすべきか共有名義にすべきかについてご紹介していきます。
返済や売却まで考えつつご紹介していくので、家の売却を検討している方も必見です。
福井・北陸周辺で住宅の売買を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

□単独名義と共有名義について

不動産を購入するときの名義は、「単独名義」と「共有名義」の2種類があります。
単独名義とは「一人の名義で登記すること」で、共有名義とは「複数人で登記すること」です。

たとえば夫を名義人として住まいを建てたとき、その不動産の名義人は夫だけです。
一方で複数でお金を出し合って住まいを建てたとき、不動産の名義は出資した割合に応じた持分での「共有名義」となります。
具体的には、5000万円のマンションを夫2000万円、妻3000万円でお金を出し合って購入した時、2対3の持分での共有名義となります。

□共有名義のメリットとデメリットとは?

*共有名義のメリット

1つ目のメリットは、相続税を節税できることです。
名義人が亡くなったとき、その不動産は遺産となります。
そして遺産を相続するときには相続税が発生します。

たとえば夫婦で1対1で出資し、住宅を購入したとします。
このとき夫が無くなり妻が相続する場合、相続税は半分になります。
このように、共同出資をしていると相続税を節税できます。
相続税は高額なので、この節税は想像以上に大きいメリットでしょう。

2つ目は、高額な不動産を購入できることです。
現金で不動産を購入する方は非常に少なく、多くの場合は住宅ローンを借りて家を買います。
住宅ローンを借りる際には資産・年収に対して審査が行われますが、このとき資産・年収が多いほどローンを多く借りられます。

共働きの夫婦の場合、二人の収入や資産を合わせたほうが、一般的にローンを多く借りられます。
そのため高額な住宅を購入するための資金を用意しやすくなります。

3つ目は、売却するときの控除額を多くできることです。
マイホームを売却するとき、3000万円の特別控除がありますが、これは「一人当たり」の控除額です。
つまり二人の共有名義で購入した住宅の場合、特別控除は6000万円となります。
このように控除額を大きくできるのも、共有名義のメリットでしょう。

*共有名義のデメリット

1つ目のデメリットは、離婚した時に住宅を売却することになるケースが多いことです。
2人の共有名義で住宅を購入したあと、離婚をしてしまうこともあるでしょう。
このときローンが残っている場合、支払いきれる可能性は低くなります。

支払いきれない場合、買ったばかりのマイホームであっても売ることになります。
一方が支払い続けられるのであれば売る必要はありませんが、高額なマイホームのローンを支払えずに売ることになるケースは多いです。

2つ目は、売却しづらくなることです。
共有名義の不動産は、所有者全員の許可なしには売却することができません。

□単独名義のメリットとデメリットとは?

*単独名義のメリット

1つ目のメリットは、離婚時にトラブルになるケースが少ないことです。
単独名義の場合、所有名義が明らかであるため、売却しようと考えたときの手続きは共有名義よりも簡潔です。
ただし、「夫の単独名義で購入した物件であっても妻に一定の権利があること」には注意しなければなりません。
そのため、単独名義で購入した物件でも離婚時には財産分与をする必要があります。
このときは共有名義にするのではなく、名義の所有者がもう一方に対して現金を支払うケースが一般的です。

2つ目は、相続時にトラブルになりにくいことです。
共有名義でトラブルにつながる原因は「共有者の同意が必要になること」です。
相続を繰り返すほど、遠い親戚が共有者になり、トラブルにもなり易いです。
一方で単独名義の場合、共有持分が細かくなってトラブルになることもありません。

3つ目は、一方の収入が減っても返済可能なことです。
単独名義であれば、一人の収入がなくなったとしても、もう一方に収入があればローンの返済が可能です。
そのため、出産・病気といったライフイベントに対応しやすくなります。

また、住宅ローンは「団体信用生命保険(団信)」への加入を求められます。
団信に入っていると住宅ローンの名義人が亡くなったり高度障害状態となったりして支払いが困難になったとき、ローンの返済が免除されます。

*単独名義のデメリット

1つ目のデメリットは、購入予算が限られるケースが多いことです。
共有名義のメリットの1つとしてローンの借り入れ額が多くなることを挙げましたが、裏を返せば「単独名義の場合借入額が少なくなりやすい」ということでもあります。
ただし、購入したい家の費用に対し借入額が十分であれば良いため、このデメリットはなくなる場合もあります。

そのため、第一に「どんな家にしたいか」を考えることが大切になってきます。
その後に「単独名義の借り入れで大丈夫か」ということについて検討していけばよいでしょう。

また、借り入れる際は返済のことも考えなくてはいけません。
住宅に対する要望と費用のバランスをよく考える必要があります。

2つ目は、ローンの控除が一人分しか受けられないことです。
これも共有名義のメリットの裏返しなのですが、税金対策をする際に、単独名義だと一人分の控除しか受けられません。

ここでも注意が必要なのが、必要以上に高額な家を建てないことです。
税金対策のために無理をすると、結果として返済が困難になるケースもあります。
控除を目的に共有名義にするというよりは、返済が容易な方を選んだ結果共有名義になった、という方が健全です。

3つ目は、売却時の3000万円の特別控除も、一人分しか受けられないことです。
将来的な売却まで考えて購入するなら、このデメリットは考慮しなければなりません。
しかしマイホームを購入するときにここまで考える人は日本には少ないため、あまりこのデメリットは大きくないかもしれません。

4つ目は、名義人が亡くなったときに、相続対策にならないことです。
名義人が亡くなったとき、配偶者・子供に不動産は相続されます。
このとき、共有名義に比べ税額は高くなってしまいます。

相続税が高くなることが気になる場合、贈与を上手に活用していきましょう。
相続よりも、課税を避けられます。

□離婚時に家を分けるときに持分はどうなる?

夫婦で家を購入するときの名義には2種類あると説明してきました。
共有名義で家を購入した場合、必ず決めるのが「持分割合」です。
これは、不動産の所有割合のことです。
全ての割合を足すと100になるように、共有名義の全員に振り分けられます。

この割合は、一般的に出資額によって決まります。
たとえば妻が300万円を頭金として出資し、夫名義で2700万円のローンを組んだと仮定しましょう。
この場合、妻が10分の1、夫は10分の9の持分割合となります。

ここで気になるのが、「離婚時の財産分与」です。
実は、持分割合によって財産分与が為されるわけではありません。
一般的に不動産は持分割合に従って財産を分けますが、離婚時に家は財産分与の対象となり、半分ずつ財産が分けられます。

□共働き夫婦が不動産購入するときの名義は?

最後に、これまでの話を踏まえつつ、共働きの夫婦が不動産を購入するときに名義をどうすべきかについてご紹介します。

単独名義は共有名義に比べてローンの借り入れ額は少ないです。
しかし、一方がライフイベントや何らかの理由で返済できなくなったとき、もう一方が働くことで返済できるというメリットもあります。
一方で共有名義の場合は控除が多い点で返済面では有利です。

大切なのは、長期的な視点です。
控除されたとしても返済できない住宅を購入してしまうと、返済が困難になってしまいます。
後の返済のことまで考えたうえで、長期的な視点で単独名義か共有名義か考える必要があります。

*共働き夫婦が選ぶ3種類の住宅ローンについて

1つ目は、単独名義の住宅ローンです。
メリットは以下の点です。

・一方が働けなくなった時、もう一方の収入で返済できる
・名義人が亡くなったとき、返済が不必要になる
・単独で家計に余裕のある住宅ローンを組み、繰り上げ返済できる

2つ目は、共有名義のペアローンです。
一人で住宅ローンを組む場合よりも多くの額を借りられ、控除を二人分受けられます。
一方で借入の際の手数料が2倍になったり、一方が亡くなったときももう一方のローンが残ったりするといったデメリットがあります。

3つ目は、収入を合算して借りるローンです。
このとき、一方は「主債務者」、もう一方が「連帯保証人」となります。
そのため住宅ローン控除は一人にのみ適用され、主債務者が亡くなったときは連帯保証人に返済義務が移ります。
ただし、どちらか一方の収入で借り入れが難しいときにローンを借りられるようになります。

□まとめ

今回の記事では、家の名義は共有名義にすべきか単独名義にすべきかということについて、それぞれの特徴やメリット・デメリット、離婚時の財産分与の方法などを紹介しつつ、解説してきました。
どちらの方法によって借りるかについては、それぞれにメリット・デメリットがあるため一概には言えません。

しかし「返済可能かどうか」をよく考える必要があるでしょう。
判断しにくい場合は、住宅会社への相談も検討しましょう。
また、それら方法によって離婚時の財産分与の方法が変わることが無いことについては押さえておきましょう。

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