農地の売却を検討している方は必見です。
今回の記事では農地売却のときに発生する税金や確定申告、必要書類や売却の流れをご紹介します。

□農地売却時に発生する税金

農地売却の際には、一般的な土地売却と同様税金が発生します。
まずは簡単に挙げてみます。

・譲渡所得税と復興特別所得税
・住民税
・印紙税
・登録免許税

農地を売ったとき発生する譲渡所得は給与所得との分離課税であるため、確定申告が必要です。
また、農地の所有期間によっても税金の額は変わってきます。
ここからは、それぞれ詳しく解説していきます。

*譲渡所得税と復興特別所得税

譲渡所得は、所有期間によって2種類に分けられます。
1つ目は短期譲渡所得で、所有期間が5年以下の不動産の譲渡所得を指します。
2つ目は長期譲渡所得で、所有期間が5年を超える不動産の譲渡所得を指します。

短期譲渡所得に対しかかる税金は、譲渡所得税30%、復興特別所得税0.63%です。
長期譲渡所得に対しかかる税金は、譲渡所得税15%、復興特別所得税0.315%です。

農地の譲渡所得が1000万円となった場合で例を挙げます。
農地を3年所有してからの売却の場合、税額は306万3000円です。
一方農地を7年所有してからの売却の場合、税額は153万1500円となります。
このように、所有期間によって税額は非常に大きく左右されます。

*住民税

農地の譲渡所得には、住民税も発生します。
住民税も、所有期間によって税率が変わります。
具体的には、短期譲渡所得に対する住民税率は9%、長期譲渡所得に対する住民税率は5%です。

先ほどの例に住民税も反映させてみます。
農地を3年所有してからの売却の場合、税額は396万3000円です。
一方農地を7年所有してからの売却の場合、税額は203万1500円となります。

*印紙税

不動産の譲渡契約書といった課税文書となる書類に対しては、印紙税が発生します。
納付税額は細かく定められており、契約金額が大きくなるにつれて納付税額も大きくなります。
上記の1000万円の例だと、1万円の印紙税が発生します。

1つの契約で複数の契約書を作成した場合、それぞれの契約書に対し印紙税が発生します。
売買契約においては売り手・買い手の両方に印紙税が発生します。

*登録免許税

農地を売却した時には、所有権が売り手から買い手に移ります。
そのため、所有権移転手続きが必要です。

所有権移転手続きの際には、登録免許税が発生します。
税額は、売却価格の2%です。

これまでの条件をすべて合わせて税額を計算してみます。
農地を3年所有してからの売却の場合、税額は417万3000円です。
一方農地を7年所有してからの売却の場合、税額は224万1500円となります。

□農地売却にかかる譲渡所得税とは?

ここまで数回出た「譲渡所得」という言葉ですが、そもそも譲渡所得とは、不動産を売却した時の売上から、不動産の取得費、譲渡費用を差し引いた時に残る利益のことです。
このように土地の譲渡によって利益が発生した場合、譲渡所得税が課税されます。
なお、取得費が不明な場合は、取得費を売却額の5%として計算します。

先ほど述べた通り、譲渡所得は所有期間によってかかる税率が変わってきます。
ただし、所有期間の計算方法は注意が必要です。

不動産の所有期間は、取得した日から引き渡しの1月1日までとします。
例を挙げてみます。
2018年3月に取得した農地を2023年4月に引き渡すケースを考えてみましょう。
実際には5年1か月が経過しています。
しかし、所有期間は2018年1月までとするため、5年経っていないものとします。
長期譲渡所得にするためには、2024年に入ってから売却する必要があるのです。

□農地売却と普通の土地売却の違い

農地売却のとき、税金に関して普通の土地売却と異なる点があります。
それは、譲渡所得税の特別控除です。
一般的な土地売却では特別控除や土地収用による特別控除がありますが、農地売却では次のような特別控除があります。

・農地保有の合理化のため農地を売却した場合の特例
・特定住宅地造成事業などのために農地を売った場合の特例
・農地中間管理機構に譲渡した場合の特例

控除額は順に、800万円、1500万円、2000万円です。

□農地売却をしたら確定申告しましょう!

ここでは、農地売却の際に必要な確定申告について、詳細を解説していきます。
農地の譲渡所得は、前述したように所得税とは分離課税です。
そのため、所得税とは別に確定申告をする必要があります。
以下では、確定申告で必要となる書類や確定申告の流れについて紹介していきます。

*確定申告で必要になる書類

農地の売却によって譲渡所得を得た場合、確定申告を行います。
その際に必要な書類は、以下の通りです。

・確定申告書第一表と第二表(B様式)
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得内訳書(土地・建物用)
・譲渡時の売買契約書の写し
・譲渡に掛かった費用の領収書の写し
・農地を取得した際の売買契約書の写し
・当該農地の登記簿謄本(登記事項証明書)
・通常の確定申告に必要な書類(マイナンバーカードや預金口座番号がわかる書類、源泉徴収票など)

このうち、確定申告書第一表と第二表(B様式)・確定申告書第三表(分離課税用)・譲渡所得内訳書(土地・建物用)は、管轄の税務署で入手できます。
通常の確定申告に必要な書類(マイナンバーカードや預金口座番号がわかる書類、源泉徴収票など)や譲渡に掛かった費用の領収書の写しは、自分で準備する必要があります。
譲渡時の売買契約書の写し・農地を取得した際の売買契約書の写しは、売買契約時に物を自分で用意する必要があります。
当該農地の登記簿謄本(登記事項証明書)は、管轄の法務局で入手できます。

なお、管轄の税務局で入手できる譲渡所得内訳書と確定申告書の第一表~第三表は、国税庁の公式サイトからもダウンロード可能です。
登記簿謄本もオンラインで申請できる場合があるので、一度調べてみると良いでしょう。

*税の控除を受けるときに必要な書類

先ほど、農地売却に特有の税金の控除を3種類ご紹介しました。
ここでは、それぞれに必要な書類をご紹介します。

まずは「農地利用目的の譲渡の特例800万円控除」です。
必要書類は、以下の通りです。

・譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
・農地保有の合理化などのために、当該農地を譲渡した場合に該当することを証する書類

続いて「農地中間管理機構への譲渡1,500万円控除」です
必要書類は、以下の通りです。

・譲渡所得の内訳書(土地・建物用)(確定申告書付表兼計算明細書)
・農地中間管理機構が買入協議に基づいて、当該農地を買い入れたことを証明する書類
・当該農用地が農用地区域内にあり、買い入れに関して市町村長が法律に則って適正に通知を行ったことを証明する書類
・当該農地を買い入れた者が農地中間管理機構に該当している旨を証明する書類

最後に、「転用目的の譲渡の特例5,000万円控除」です。
必要書類は、以下の通りです。

・譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
・公共事業の施工者などから受けた収用等証明書
・公共事業施工者から交付された公共事業資産の買取等の申出証明書
・公共事業施工者から交付された公共事業資産の買取等の証明書

概観してみると、特例を受けるためには「譲渡所得の内訳書」が必須であることが分かります。

*申告と納税の時期について

農地を売却した場合、譲渡所得の申告と納税は、翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。
その際の場所は、現住所を管轄する税務署です。
一括納付が難しい場合、確定申告の際に届出を提出すれば分割納付が可能となります。
ただし、その場合は1.7%の利子が発生します。

□農地を売却する際の流れ

*農地をそのまま売却する場合

まず、購入できるお客様には制限があり、以下の条件を満たす「農家」または「農業生産法人」である必要があります。

・農地を取得後50a以上保有している
・所有して言う全ての農地で農作業を行っている
・常に継続して農業を行っている
・脳合に必要な機材や人材を適正数保有している

流れは、以下の通りです。

1:買い手を探す
2:許可を条件とした売買契約の締結
3:農業委員会に売買許可申請書を提出
4:所有権移転請求権の仮登記
5:許可後本登記と代金の精算

*農地を転用して売却する場合

前提として、農地の転用は自給率の低下につながるため、許可されない場合があることは押さえておきましょう。
その他に、2つの条件を満たす必要があります。

1つ目の基準は「立地基準」です。
立地基準には、以下の5種類があります。

・農業利用が原則の「農用地区域内農地」
・市街化調整区域内の、農業公共投資の対象となった8年以内の優良農地である「甲種農地」
・農業公共投資の対象の「第1種農地」
・市街化する可能性のある、公共投資の対象となっていない小規模な「第2種農地」
・生産性の高い「第3種農地」

第2・3種農地を除く種類の農地は、原則として転用ができません。

2つ目の基準は、「一般基準」です。
一般基準の項目は以下の9つです。

・申請者の資金力・信用が十分
・転用する農地の関係者(販売業者など)の同意を得ている
・転用後は申請した目的のために利用する見込みがある
・転用の目的が自治体の規則などで制限されていない
・事業目的の転用の場合、協議が完了済みである
・転用後に合筆する際は規制に反していない
・目的を実行するのに十分な条件(広さやアクセスなど)がある
・転用による周辺農地への影響が出ないような措置をとる
・一時的な利用なら将来的に農地に戻せる見込みがある

最後に、転用して売却するときの流れをご紹介します。

1:買い手を探す
2:許可を条件とした売買契約の締結
3:農業委員会に相談
4:転用許可申請
5:所有権移転請求権・仮登記
6:許可後本登記と代金精算

□まとめ

今回の記事では、田んぼを売却するときの流れや、その際に場合によっては必要となる確定申告について解説しました。
当社では不動産売買を行っているので、福井・北陸周辺で不動産の売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

事例 当社の売却実績はこちら