不動産を売却するときには、登記費用が発生します。
ただ、不動産売買をしたことが無いという方は多いでしょうし、費用について知らない方がほとんどだと思います。
しかし、費用についてよく知らないと、不動産売却に踏み出しにくいですよね。

そこで今回の記事では「そもそも登記とは何か」というところから、登記の種類、費用の発生タイミング、具体的な費用についてご紹介します。
不動産の登記について知りたい方、売却の際に発生する費用について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

□土地や物件の登記とは

登記とは不動産の売買をしたときや、相続・贈与によって取得した時に行う手続きの1つです。
登記を行うことで所有権を主張したり、不動産の大きさ・造りを証明できます。

不動産の登記には、「表示の登記」と「権利の登記」の2種類があります。
表示の登記とは、土地や建物の物理的現況を記載する登記です。
具体的には、以下の内容を記載します。

・所在
・地番
・地目
・地籍
・家屋番号
・家の種類
・家の構造
・床面積

一方で権利の登記と所有権に関する登記は、抵当権など所有権以外の権利に関する登記です。
なお、表示の登記には申請義務がありますが、権利の登記には申請義務がありません。
法律は、「自分の権利を守りたい人のみが登記すればよい」というスタンスであるためです。

登記を行うメリットとしては、権利関係を明示できることが挙げられます。
権利の登記には義務がないと説明しましたが、自分の権利を守るためにも行ったほうが良いでしょう。
第三者に権利について明示する際にトラブルを防ぐために、権利の登記は必要です。

このような、第三者に権利を主張する力を「対抗力」といいます。
実際にどのような場面で、対抗力は発揮されるのでしょうか。

たとえば、売買契約のみでは、所有権が移ったことが第三者には分かりません。
登記を行うことで、第三者にも所有権の移転が主張できます。
万が一、権利の登記を行わずにその不動産の権利を主張された場合、第三者に権利を主張できません。

□不動産登記の種類

不動産登記には主に以下の5種類があります。

・表題登記
・所有権保存登記
・所有権移転登記
・抵当権設定登記
・抵当権抹消登記

これらは不動産購入・取得、売却の際に行われます。
順に解説していきます。

1つ目は、「表題登記」です。
これは登記されていない建物を購入した時、新築した時に必要な登記です。
不動産の購入・完成から1か月以内に、主に買い手が行います。
期限を過ぎてしまうと、10万円以下の罰金が課せられます。

この登記は売り手には一般的に関係ありません。
ただし罰金が発生した時は巻き込まれる可能性があります。
そのため、契約時に条件を核にしておく必要があります。

また、この手続きは一般的に土地家屋調査士に依頼します。
その場合は報酬として10万円程の費用が発生します。

2つ目は、「所有権保存登記」です。
これは、所有権登記がない新築物件といった不動産に行われる登記です。
ときどき所有権保存登記が行われていない建物・土地があるため、そのような不動産の取得時に行われる場合もあります。

3つ目は、「所有権移転登記」です。
これは不動産を購入または取得した時に行われる登記で、これにより所有権が移ったことが証明されます。
新築住宅で、住宅自体には「所有権保存登記」が行われますが、土地には「所有権移転登記」が行われます。

4つ目は、「抵当権設定登記」です。
抵当権とは、金融機関が借り手の不動産に対して担保を設定する権利のことです。
住宅ローンを借りる際は必ず設定される抵当権の設定にも、登記が必要となります。

5つ目は、「抵当権抹消登記」です。
不動産の所有権を移転するときに抵当権が残っている場合、抵当権を抹消する必要があります。
戸建て住宅の場合は建物・土地の両方に抵当権が設定されるため、どちらも取り外さなければなりません。

□不動産売却の費用が発生するタイミング

不動産を売却する方法はいくつかあります。
ここでは中でも一般的な方法である、仲介による売却の際に費用が発生するタイミングを紹介します。
売却フローは以下の通りです。

1:価格査定
2:売買契約締結
3:売却活動開始
4:内覧
5:商談・交渉
6:購入申し込み
7:売買契約締結
8:決済・引き渡し

このうち費用や税金が発生するのは、「2:売買契約締結」時と「8:決済・引き渡し」時です。

まずは「2:売買契約締結」のときに発生する費用を紹介します。
このとき発生するのは、「印紙税」と「仲介手数料の半金」です。

続いて「8:決済・引き渡し」のときに発生する費用です。
このとき発生するのは、以下の通りです。

・登録免許税
・司法書士への報酬
・仲介手数料の半金

□買主と売主の費用負担について

*買主に発生する費用負担

本来であれば、売買における所有権移転登記の費用は、売主と買主で折半すべきです。
しかし不動産取引においては、買主が負担をすることが商習慣となっています。

これはあくまで商習慣であるため、売主負担としても問題ないです。
売買契約書に登記費用の負担に関して必ず記載されているので、その部分に従うことになります。

なお、買主が不動産を購入するとき、住宅ローンを利用する場合は「抵当権設定登記」も必要です。
抵当権設定登記においては、債権金額の1000分の4の「登録免許税」と、35000円程度の「司法書士手数料」がかかります。
この登記は所有権移転登記と同様、司法書士に依頼できます。

*売主に発生する費用負担

抵当権抹消登記は、売主負担です。
登記簿の情報を変更する際に発生する費用は以下の通りです。

・登記事項証明書発行手数料
・住民票もしくは附表発行手数料
・収入印紙代

このとき、書類がいくつか必要なので、以下に記載しておきます。

・登記済証または登記識別情報通知書
・実印
・印鑑証明書(3か月以内の物)
・固定資産税評価証明書
・住民票
・住民家屋証明書等

このほかに抵当権抹消の際に必要となる「弁済証書」や「解除証書」といった書類は、金融機関が用意します。

□不動産登記にかかる費用

ここでは、具体的に発生する費用をご紹介します。

*抵当権抹消登記の費用

不動産1つに付き、1000円の登録免許税が発生します。
戸建ての場合は土地と建物それぞれに登録免許税が発生するため、2000円かかります。
これは、通常戸建てでローンを借りるときは土地・建物の両方に抵当権が設定されるためです。

また、二筆ある土地の上にある建物を売却するときは、不動産の個数は3つとなるため3000円かかります。
さらに、司法書士に依頼した場合は10000円から20000円程度を報酬として支払う必要があります。

具体的に、一戸建てで抵当権抹消登記を司法書士に依頼したケースについて料金を計算してみます。
不動産が2つなので登録免許税は2000円、登記事項証明書に1200円、司法書士への報酬として10000~20000円の費用が発生します。
総額は13200~23200円です。

*所有権移転登記の費用

登録免許税は、固定資産税評価額に税率を乗じて算出されます。
原則として税率は2パーセントです。

ただし、令和5年3月31日までなら土地に対する税率は1.5パーセントとなっており、少し税金が安くなります。
建物に対する税率は、いくつかの条件を満たすことで0.3パーセントまで下げられます。
具体的には、居住用の不動産であることや、床面積は50平方メートル以上であるといった条件があります。

また、所有権移転登記も師匠書士に依頼でき、その際の相場は45000~55000円程度です。
なお、「立会い費用」が実際には加算され、更に費用は高くなります。

□売主が用意すべき書類

抵当権抹消手続きに必要な書類は以下の通りです。

・登記申請書
・登記の委任状
・登記原因証明情報
・登記事項証明書

「登記申請書」は、司法書士に抹消手続きを依頼する場合は用意の必要はありません。
「登記の委任状」は、司法書士に依頼するときに必要となります。
「登記原因証明情報」とは、解除証書または完済証明書です。
ローンを完済した時に金融機関から受け取ることになるので、残しておきましょう。
「登記事項証明書」は、ローン会社の証明のための書類です。

住所変更登記・氏名変更登記に必要な書類は以下の通りです。

・戸籍謄本
・住民票

「戸籍謄本」にはいくつかありますが、自分の名前だけが書かれた「戸籍抄本」で十分です。
「住民票」は本籍、戸籍筆頭者が記載されたものを用意する必要があります。

相続登記に必要な書類は、財産分与の方法で異なります。
なお、今回は比較的採用されやすい、遺産分割協議による相続登記の際に必要な書類をご紹介します。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の除票
・法定相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・当該不動産の固定資産評価証明書
・当該不動産の登記簿謄本
・相続登記申請書
・相続人の住民票
・相続人の委任状

「被相続人の住民票の除票または戸籍の除票」は、本籍地が省略されていない物を用意する必要があります。
「法定相続人全員の戸籍謄本」は、相続開始後のものを用意する必要があります。
「遺産分割協議書」には、全員が同意したことを示すために、相続人全員の署名・押印が必要です。
「当該不動産の固定資産評価証明書」は、登録免許税の計算のために必要です。

□まとめ

不動産登記とは、不動産の売買や相続、贈与の際に発生する手続きです。
いくつか種類があり、状況に応じて行う必要があります。
その際は費用が発生し書類も必要なため、必要に応じて司法書士に依頼することが可能です。
依頼の際は費用が発生するため、その点については考慮したうえで依頼する必要があります。

当社は、北陸で不動産の売買を行っています。
住み替えをされる方や相続に際して実家を売りたい方、住宅ローンでお困りの方など様々な状況に合わせて適切なサポートをいたします。
不動産の売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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