不動産売却を検討しているときにネックなのが、税金です。
どれくらいの税金がかかるのか、いつ払うのかなど疑問点があると、不動産売却をしづらいと思います。
税金について知っておくことで、安心して不動産売却に踏み出せるでしょう。

以上を踏まえて今回の記事では、不動産売却の翌年に発生する「住民税」についてご紹介します。
また、住民税と混同されやすい所得税や、その他細かな税金についてもご紹介します。
「住民税という名前からどんな税金か判断できない」
「住民税と不動産売却が関わっているって知らなかった」
このようにお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

□土地売却時に発生する税金はいつ払う?

土地の売却時に発生する税金は以下の4つです。

・印紙税
・登録免許税
・所得税
・住民税

なお、このほかに「仲介手数料」や「司法書士報酬」、「銀行手数料」に対して消費税が課されます。
スケジュールは、以下の通りです。

・印紙税:売買契約時
・登録免許税:引き渡し時
・所得税、特別復興所得税:原則として売却の翌年2/16~3/15
・住民税:売却の翌年度6月以降

今回の記事では、このうち住民税に焦点を絞って解説していきます。

□住民税とは?

では、そもそも住民税とはどのような税金なのでしょうか。
住民税は、「都道府県及び市区町村に納める都道府県民税と市区町村民税を合算した税金」のことです。
なお、会社員であれば毎月給与から天引きされています。
標準税率は10%で、前年の所得に対して発生します。
所得税は当該年度の所得に対して課されるので、この点が住民税と所得税の相違点です。

たとえば会社を辞めたとしましょう。
この場合所得税は軽くなる一方、住民税は依然として重いという現象が起こります。

□所得税と住民税について紹介します!

*住民税や所得税と不動産売却の関係性

前段で解説したように、所得税と住民税は所得に対して発生します。
そしてこれらの違いは、所得税が当該年度の所得に対して発生するのに対し、住民税は前年度の所得に対して発生する点であるとも紹介しました。
では、これら税金と不動産売却はどのように関わるのでしょうか。

実は、不動産売却においては、「利益が発生する」ケースがあります。
そして利益が発生したとき、その利益は課税対象となります。
なお、ここでは利益を「購入額と売却額の差額」とします。
よく「売却額に対して税金が発生する」と勘違いされますが、売却できても利益が発生しない場合は税が発生しないので注意しましょう。
そして利益が出た場合、確定申告を行って納税する必要があります。

これは分離課税と呼ばれる仕組みです。
不動産売却による利益を「譲渡所得」といいますが、譲渡所得は給与所得・事業所得とは別に課税されることになっています。

譲渡所得に対して発生するのが、「住民税」と「所得税」です。
ただし、確定申告を行うのは所得税のみで、所得税の申告を行えば住民税の申告も済ませたことになります。
そのため、住民税の申告を行う必要はありません。

*支払時期が違うので注意が必要です!

支払時期についても確認しておきましょう。
所得税の納付期限は、原則として3/15です。
ただし、納付期限が土日祝日、祝日の場合はその翌日となります。

一方住民税は、所得税の確定申告後に送付される「住民税納付書」を用いて、指定の金融機関で支払うことになります。
原則として、6月、8月、10月、翌年1月のように4期に分けて納付可能で、普通徴収の場合は一括でも納付可能です。
ただし、この納付方法については各市町村で異なる場合があります。

*住民税はどのように計算されるのか?

では、住民税はどのように計算されるのでしょうか。
譲渡所得に対して発生する税金には、「所得税」と「住民税」があると説明しました。
そしてこれら税金の税率は、不動産の所有期間によって変わります。

不動産の所有期間が5年以上の場合、そのような不動産の売却による譲渡所得は「短期譲渡所得」といいます。
対して5年を超える場合は「長期譲渡所得」となります。
具体的な税率は、以下の通りです。

・短期譲渡所得:所得税率30.63%、住民税率9%、計39.63%
・長期譲渡所得:所得税率15.315%、住民税率5%、計20.315%

このように、保有期間が長い方が税金は少なくなります。
なお、令和19年まではこれらに加え、復興特別所得税が2.1%加算されます。

また、譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

・譲渡所得金額=土地や建物の売却額-(取得費+譲渡費用)

取得費は、以下の費用の総計です。

・不動産の購入費
・購入手数料(仲介手数料他)
・登録免許税
・不動産取得税
・土地の改良費
・設備費

なお、建物の取得費は減価償却費相当額を差し引いて計算します。

また、譲渡費用とは「不動産を売却するときに直接かかった費用」を指します。
具体的には、不動産を売るときに支払った仲介手数料や印紙税のうち、売主が負担したものを指します。

最後に、実際に計算してみましょう。
まずは「保有期間6年、譲渡所得金額1500万円」のケースです。
この不動産の譲渡所得は「長期譲渡所得」となるため、所得税と住民税の総計は20.315%となります。
ただし100円未満は切り捨てとなるので、「1500万×15.315%」で合計税額は304万7250円となります。

では、「所有期間3年・譲渡所得金額1000万円」のケースではどうでしょうか。
この場合、5年以下であるため短期譲渡所得となります。
税率は39.63%となるため、合計税額は396万3000円となります。
実際に計算してみると、譲渡所得が少なくても、短期所得に発生する税額は大きいことが分かると思います。

□特例を利用して住民税を減らす方法をご紹介!

このように、住民税は非常に大きな税金です。
そのため、上手く特例を活用することで得られるメリットも大きくなります。
具体的には、譲渡所得に対して控除を行うことで住民税や所得税の減額につながります。
ここでは、7つの特例をご紹介します。

1.居住用財産を譲渡した場合の特別控除
控除金額は最大で3000万円です。
条件は、家屋や敷地に住んでいたことです。

2.被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除
控除金額は最大で3000万円です。
相続した空き家や敷地を売却していることが条件です。

3.平成21年度及び22年度に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除
控除金額は最大で1000万円です。
条件は厳しく、平成21・22年度に取得し、5年以上保有した土地の売却に限ります。

4.農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の特別控除
控除金額は最大で800万円です。
ただし、農業委員会の斡旋などによって農地を認定農業者等に売却した場合に限ります。

5.低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
控除金額は最大で100万円です。
都市計画区域内の活用されていない土地を500万円以下で売却する場合に限り利用できる特例です。

6.所有期間10町の軽減税率の特例
課税対象の長期譲渡所得のうち、6000万円以下の部分の税率が10%になります。
ただし、10年を超えて所有している居住用不動産を売却するときに限ります。
この特例は3000万円控除と併用できるため、ぜひ活用したいところです。

7.特定のマイホームを買い換えたときの特例
売却した家に対する課税を、買い換えた家を将来売却するときに繰り延べられます。
ただし、10年以上居住して10年の超えて所有している不動産を売却し、売却価格よりも高い金額で買い換えをするときに限ります。

□ふるさと納税で住民税を減らす方法をご紹介!

じつは、住民税は地方税の1種です。
そのため、ふるさと納税を上手に活用することで負担を軽減できます。
不動産売却で譲渡所得があった場合、ふるさと納税もぜひ活用しましょう。

*ふるさと納税による住民税の負担軽減

ふるさと納税の目的として、「地方の自治体に寄付をすることで地域を活性させること」が挙げられます。
注目されがちなのは返礼品ですが、譲渡所得から納税額が控除されます。
このときの計算方法は以下の通りです。

・控除額=寄付額-2000円

寄付額の上限は、所得や家族構成によって変わります。
たとえば年収500万円で妻と子供がいる場合、上限は49000円となります。
この場合、控除額は47000円となります。
具体的な計算方法については総務省が公表しているので、ぜひ参考にしてみてください。

*後からの寄付でも控除可能です!

不動産売却で譲渡所得が生まれると、寄付額の上限が上がります。
このときふるさと納税で控除される額も増えるので、負担は2000円のまま高額な返礼品を受け取れます。
ただし、ふるさと納税の申込期間はその年の1/1~12/31となっています。
不動産売却によって利益が出た後に申し込んでも控除を受けられるので、ぜひ活用してみてください。

□住民税納付のときの注意点とは?住民税は翌年の納税です!

最後に、住民税納付のときの注意点をご紹介します。
注意したいのはやはり、所得税と納税のタイミングが異なることです。
所得税の納税タイミングは確定申告の期限、住民税の納税は5月以降に始まることに注意しましょう。
考えられる失敗として、所得税を納付して住民税の支払い分を忘れてしまうことです。
支払う分を計算しておき、忘れずに納付することが大切です。

□まとめ

不動産売却後に発生する税金の1つとしての住民税は、税率の高い税金です。
5年を超えて保有した不動産には5%、5年以内の不動産には9%もの税率がかかり、これに加え所得税も発生します。
以上の性質を踏まえて今回紹介したポイントを整理すると、以下の2つになるでしょう。

・特例を適宜活用することが重要
・納税タイミングが異なるので、特に住民税は払い忘れないようにすることが大切

譲渡所得が出るかもしれない方は、ぜひ以上の点に注意してください。

当社では、不動産の売却をお手伝いしております。
少しでも早く、高い額で売れるようにお客様をサポートいたします。
北陸周辺で不動産売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

事例 当社の売却実績はこちら