不動産売却をするときの税金について、どれくらいのことを知っているでしょうか。
不動産の売却となれば大抵は年収を大きく上回る金額をやり取りすることになり、当然その税金も大きな金額になります。

しかし、不動産売却した方から税金で大きく損をした、といった声が聞こえてくることは滅多にありません。

なぜでしょうか。

税率はあらかじめわかっているため急にとんでもない額を請求されるわけではないこともありますが、大きな理由として特別控除の存在が挙げられます。
今回はそんな意外と知らない不動産売却の税金について見ていきましょう。

□不動産売却に関係する税金はどんなもの?

不動産売却を検討したときに、税金の不安が頭をよぎる方も多いでしょう。
そういった不安は、知ってしまえば怖くなくなるもの。

では、具体的にはどんなものがあるのでしょうか。

*印紙税

まず、契約書ではおなじみの印紙税です。

印紙税はより厳密にいうと不動産売却の契約書にかかる税金であり、契約金額によって金額が変わります。

売買契約書は売り手と買い手が一通ずつ保管しますが、基本的に保管する側が印紙税を払うため必要な額は一通分に収まります。

*譲渡所得によって増える税金

具体的には、所得税と住民税が該当します。

どちらも売却額ではなく譲渡所得によって増えるため、計算してみて利益が出ていなかったときには増えません。
この計算には減価償却費や数多く存在する控除を含めるため、計算式が複雑になりがちです。
その分支払う税金も少なく済むため、面倒でも調べて計算してみましょう。

□不動産で使われる控除の代名詞3000万円特別控除

譲渡所得に関わるさまざまな控除のうち、控除金額が大きく当てはまる人の多い、控除の代名詞とすらいえるものが存在します。

それこそが3000万円の特別控除。
これについて、詳しく見ていきましょう。

1.どの税金が控除されるか

不動産売却のときにかかる税金は、大きく分けて二種類あります。

避けることのできない売却時に必要な税金と、売却した結果として利益が出たときに支払う必要が出てくる税金があります。
特別控除はそれぞれの税金から引かれるため、どの税金から引かれるか、という条件があります。

では、3000万円の特別控除はどちらの税金になるでしょうか。

答えは後者、利益が出たときに支払う税金です。

これは先ほど述べた譲渡所得に対して使える控除であり、不動産売却によって発生した譲渡所得を減らすことができます。

2.3000万円の特別控除の適用要件

特別控除には、それぞれ控除する条件である適用要件があります。

3000万円の特別控除は当てはまる人こそ多いものの適用要件は多く、以下の要件すべてに当てはまらないと適用できません。

まず一つ目は、売却した不動産が居住用財産であることです。

居住用財産というと難しく思えますが、これはマイホームのことを指します。
このマイホームについてもきちんと決まりがありますので、よろしければご確認ください。

二つ目に、不動産の売却先についての決まりがあります。
不動産の買い手が親族や同族会社など、近しく特殊な関係の場合は適用できません。

三つ目は適用のインターバルについての決まりです。
売却の前年、または前々年にいくつかの控除のうちどれかを使っていると、3000万円の特別控除は使えません。

四つ目に、売却が災害によって行われたものであるときは、住まなくなって3年後の年末までに売却しなければなりません。

これらの条件を全て満たしていなければ3000万円の特別控除は使えませんが、あまり特殊な条件はないでしょう。
詳細は国税庁のホームページにも載っているため、ぜひご覧ください。

□不動産売却で使える税金控除!住宅売却で使えるものは?

使いやすく控除額も多い3000万円の特別控除について説明してきましたが、ほかにも不動産売却において有用な特別控除は数多くあります。

1.10年超所有軽減税率の特例

売却する不動産が10年を超えて所有しているものであった場合、売却した利益である譲渡所得の税金が軽減税率になる恩恵を受けられます。

この特例を受けたときの税率としては、譲渡所得が6000万円までであれば所得税が10.21パーセント、住民税が4パーセントです。

6000万円を超えた範囲は所得税が13.315パーセント、住民税が5パーセントとなっています。
条件としては、マイホームに住まなくなってから3年が経つ年末までであること、マイホームかその土地であること、売り手と買い手の関係性が近しく特殊でないことの三つです。

3000万円の特別控除よりも条件が緩く、かつ併用もできるため、不動産を10年以上所有していれば使いやすくはあるでしょう。

2.特定の居住用財産の買換え特例

この特定の居住用財産というのは、マイホームのことを指します。

言葉の通り買換えのときに使える特例であり、マイホームを住みかえるときに適用されます。

また、この特例に関しては控除でなく繰り延べである点も注意しましょう。
売却した住宅と新しく買い換えた住宅の両方に条件があるため、やや条件の厳しい特例かもしれません。

3.譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

売却で利益が出たときの控除ではなく、売却で発生した損失分をほかの所得と合算できる特例です。
最大で3年まで繰り越して控除することもできます。

□なかなか使われない税金控除!レアな条件の特別控除も見てみましょう

いくつか特別控除を見てきましたが、中には特殊な条件の特別控除も存在します。
そんな、なかなか当てはまる人のいないレアなものについても見ていきましょう。

*時期が細かい特別控除

具体的には、平成21年、あるいは平成22年に取得した土地を5年以上保有してから売却した場合の特別控除です。
控除金額は最大1000万円と大きいですが、取得した年度が2年しかないため、なかなか使われない控除です。

ほかの条件としては売却先が近しく特殊な関係性の相手ではないこと、また取得方法についても条件があります。

*限られた理由で売却した場合に使える特別控除

公共事業をはじめとした目的で土地や建物を売却した場合に使える特別控除があります。
譲渡所得から最大5000万円が控除できます。

また、国土交通省の市街地のまちづくり活性事業をはじめとした目的で売却した場合の特別控除も存在します。
この場合は譲渡所得から最大2000万円が控除できます。

さらに珍しいケースではありますが、譲渡が複数年にまたがって行われた場合、この控除は最初に売却を行った年にのみ使えます。

土地収用法に基づいて土地を売却せざるを得なくなった場合や地方住宅供給公社、住宅地造成などに土地を買い取られた場合などが該当する特別控除もあります。
これらの特定の団体が土地の売却先である場合、譲渡所得から最大1500万円まで控除されます。

一定の要件を満たす必要はありますが、農業委員会の斡旋によって売却したときをはじめとした場合にも、特別控除があります。
譲渡所得から最大800万円まで控除されます。

これらの特別控除はとりわけ条件が複雑なため、よく確認すると良いでしょう。

□不動産は住宅だけじゃない!土地の税金控除

一般的に不動産を売却するときの主役といえば住宅ですが、土地もかなりの税金がかかる不動産です。
土地に対して使える控除も見ていきましょう。

1.時期が細かい特別控除

先ほど述べた平成21年、22年に取得した土地に対して適用される最大1000万円の特別控除もここに当たります。
譲渡所得が1000万円以下であれば、税金はかかりません。

2.公共事業をはじめとした理由で売却した場合の特別控除

こちらも先ほど述べましたが、売却先やその理由によって使えるようになる特別控除があります。
この珍しい特別控除はその土地を開けてもらうことが目的のため、土地に対しても特別控除が適用されます。

□不動産売却のその後は確定申告を忘れずに

売却したときの税金について述べてきましたが、これらの税金の細かい金額や控除が適用できるのかが決まるのは、確定申告のときです。

*確定申告をしなければならないケース

不動産売却によって利益、すなわち譲渡所得が発生した場合です。

さまざまな特別控除によって譲渡所得が0になることもありますが、特別控除を使うためには確定申告が必要なため、特別控除は考えずに計算してください。

譲渡所得の税率は売却をどれだけの期間保有していたかによって異なるため、その点も確認しておくと良いでしょう。

確定申告は前年の所得に対して行うため、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行なってください。

*確定申告をしなくても良いケース

確定申告は譲渡所得が発生した場合にのみ必要なため、この譲渡所得が発生しなければ確定申告の必要はありません。

しかし、譲渡所得のマイナス分をほかの所得から減らせる損益通算というものがあるため、不要だとしても確定申告をした方がお得なケースもあります。
自分が当てはまるかどうか、よく確認してみましょう。

*確定申告はなぜ必要?

結論から申し上げますと、確定申告をした方がお得だからです。

確定申告を行わなかった場合でも、税金はなかったことにはなりません。
それどころか無申告加算税として、更に多額の税金を支払う事態になってしまいます。

特別控除が当てはまらず税金が増えてしまうとしても、確定申告できちんと税金を支払うことが最も少ない金額で済む方法です。

□まとめ

不動産売却というと多額の金額が動く分、長い期間を必要とすることが多いですが、多くのケースにおいてその最後は確定申告で終えます。

不動産購入する方が支払う金額が多いため、それだけの金額を受け取る不動産売却側も多くの税金が必要なのかと思ってしまいがちですが、実際にはそんなことはありません。
それは今まで住宅に支払ってきた額の控除のほか、さまざまなケースに対応できるよう用意された特別控除の存在も多いでしょう。

福井・北陸周辺でお悩みの方は、単純に計算して多額の税金が必要になると怯えず、当社にまずは相談から、ぜひいらしてください。

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